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挽歌  原田康子
2012年08月14日 (火) | 編集 |
評価△

「挽歌」
原田康子 著

新潮文庫




【挽歌の紹介】

主人公の玲子は、病気のために女学生を退学し、劇団活動に参加しています。
玲子は、自由奔放で素直に気持ちをあらわせない性格です。

ある日、犬と女の子を連れた桂木という中年男性に出会います。
玲子は妻子ある桂木のことが気になり、彼との接触を試みていきます。
次第に桂木に惹かれていきます。

北海道釧路の地で、玲子と桂木の不倫を軸に、物語は予期せね事態へと展開していきます。


【挽歌の感想】

今から50年以上前に発表された作品です。
時代背景は、戦後間もなくという復興期です。

私にとって、古い小説は、あまり気軽に読めるものではなく、かなりの労力を要するものです。
しかも、普段は読まないジャンルの小説です。
知人に面白いと紹介されなければ、決して手に取ることはなかったはずです。

「途中までは面白くないから」と聞いていましたので、最後まで読むことを決めてからページをめくりました。
確かに、はじめのうちは、やや退屈しながら読んでいたと思います。
投げ出さずに読み続けていくうちに、戦後の釧路に暮らす主人公・玲子の姿が鮮明に想像できるようになりました。
そうなると、物語に引き込まれていきます。

玲子は真っ直ぐには桂木を追い求めません。
自分の感情に叛いたり、穏やかな湖にあえて石を投げ入れるような余計な行動もします。
そこにドキドキハラハラさせられるのです。

50年以上も人々に愛されてきたのにも納得です。
できれば、寒い冬の夜に暖かい部屋で読みたい小説です。







陽だまりの彼女   越谷オサム
2012年03月18日 (日) | 編集 |
評価△

「陽だまりの彼女」
越谷 オサム 著

新潮文庫




【陽だまりの彼女の紹介】

浩介は十数年振りに中学校の同級生だった真緒と再会します。
真緒は中学時代にいじめられていた過去があります。
勉強が全くできず、集団生活にも馴染めなかったのが原因です。
浩介は真緒と親しかったために、不遇の中学時代を過ごすハメになったのです。

ところが、再会した真緒は、美しく、仕事も出来る魅力的な女性に変貌していました。
その日から、二人の距離は、歳月を取り戻していくのですが…


【陽だまりの彼女の感想】

なんとなく立ち寄った書店に山積みされていたのが、「陽だまりの彼女」でした。
気になったのは、タイトルでもカバーでもなく、ポップでした。
「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」
一体、どんな小説なんだろう?とポップの罠にはまり、購入してしまいました。

前半は純粋な恋愛小説として楽しむことが出来ます。
ところが、後半になると、現実離れした展開が待ち受けています。
ネタバレになるので、具体的な展開を書くのは控えておきます。

ポイントとなるのは、「現実離れした展開」です。
「現実離れ」というよりは、「ファンタジック」です。
ずっとリアリティーのある小説だったはずなのに、後半は非現実的な出来事が起こります。
例えると、推理小説の謎解きで、「トリックは超能力でした」と告げられたようなものです。
「キュンとくる恋愛小説だったら、そんなの気にしない」と思うアナタは、読んでみてください。
非現実的な展開は「興ざめするから嫌だ」と思うアナタは、他の本を探してください。
私は、どちらかといえば、やや後者寄りのため、ちょっとスッキリしない読後感でした。

ちなみに、この本(?)で最も優れているのは、ポップでしょう!!
「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」
何人がこのキラーポップに踊らされたことか。
ひらめいた人は天才ですね。


<後日追記>

2013年10月に東宝系で映画化が決定したそうです。
嵐の松本潤と上野樹里が主演です!



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阪急電車 有川浩
2010年09月15日 (水) | 編集 |
評価☆ 阪急電車の利用者限定の評価です
「阪急電車」
有川浩 著

文庫本:幻冬社文庫(2010年8月)
単行本:幻冬社(2008年1月)




【「阪急電車」の紹介】

本の紹介の前に、まずは阪急電車についてご説明。
阪急電車は、兵庫・大阪・京都を結ぶ私鉄です。
広域電鉄のJRとは違い、停車駅が多く、超ローカルな駅が存在するのも特徴です。
兵庫県内の路線は、やや上品なイメージがあります。

前置きはこのくらいにして、内容を紹介します。
この小説は、阪急電車に乗車する人たちの人間ドラマです。
目次には、阪急電車今津線の駅名がタイトルとして、ずらり並んでいます。

一話ごとに、タイトルの駅を舞台いストーリーが展開します(車内の場合も多いですが)。
ストーリーは、一話完結の短編小説の体裁でありながら、連作小説でもあります。

第一話目は図書館に通う男女の恋愛を描きます。
この男女は、第二話以降にも登場します。
そして第三話目では、第二話の主人公が登場します。

誰かと誰かが繋がりながら、宝塚から西宮北口までの車内と駅を舞台に物語は進んでいきます。


【「阪急電車」の感想 by元図書館司書】

阪急電車の線を利用する人にとっては、親近感あふれる小説です。
関西人なら、書店で思わず手に取ってしまうのではないでしょうか。
私は通学に阪急電車を使っていたこともあり、レジに直行してしまいました。
知っているスポットが登場するというだけで、ワクワクするものです。

物語は、若い男女の恋愛話が大半です。
主人公たちが自らの未来を阪急電車での出会いをキッカケに切り開いていきます。
不幸な境遇の主人公たちの行動は、勇気あり、ポジティブでもあり、爽快な気分になります。

ただ、やっぱり小説だな、と思います。
現実には、電車の中で見ず知らずの人に話しかけ、親密になるなんて、一生に一度あるかないかの話でしょう。
電車のトラブルだって見て見ぬ振りされるのが悲しい現実です。

これはありえない、という展開もチラホラ。
ありえないとは思いながら、「阪急でなら、もしかすると、あるえるかも?」とも感じてしまいます。
これがJRや地下鉄だと、「あり得ない」と一笑していたかもしれません。
阪急電車を選んだのは、絶妙の一言に尽きます。

それにしても、この本は関東でも売れているのでしょうか?


【おまけ:著者について】

「図書館戦争」をはじめヒット作を多数もつ人気作家です。

「塩の街」で第10回電撃小説大賞を受賞してから、わずか数年でこの活躍ですから、驚きです。

ちなみに、「図書館戦争」はアニメ化しました。












肩ごしの恋人
2009年06月27日 (土) | 編集 |
評価△
「肩ごしの恋人」
唯川恵 著

単行本:マガジンハウス(2001年)
文庫本:集英社文庫(2004年)



第126回直木賞受賞作
2007年ドラマ化(主演:米倉涼子)
2007年韓国映画化(主演:イ・ミヨン)


【肩ごしの恋人の紹介】

萌(27歳)―
通信販売会社の独身OL。
自分も男も信用していないところがあり、面倒見のいい性格。

るり子(27歳)―
三回目の結婚を迎える美人。
自分大好きで、ほしい男は誰でも手に入れようとする鮫科の女。

正反対のふたりが女の幸せを模索していきます。

萌は通信販売会社でそれなりの評価を受けていますが、なかなか仕事にのめりこむことができませんでした。
一方、るり子は萌の恋人を奪って、3回目の新婚旅行に旅立ちますが、結婚した途端に冷めてしまいます。
夫の浮気も発覚し、家を飛び出て萌の家に居候します。

ふたりの前に現れたのは、家出少年の崇。
こうして、3人の奇妙な同居生活がはじまります。


【感想】

女の本音を包み隠さずに表現しています。
恋愛模様は、略奪、離婚、不倫と荒れています。
それでいてドロドロとしておらず、むしろ爽やかにも感じられます。
軽快に読み進めることができます。

それにしても、この人の小説は「これでもか!」という程に女中心です。
男の感情は、単純で浅く、おまけ程度にしか扱われていません。
女をとことん追及しています。

恋愛小説というよりは、「女の小説」です。








イニシエーション・ラブ
2009年05月24日 (日) | 編集 |
評価☆
「イニシエーション・ラブ」
乾くるみ 著

単行本:原書房(2004年4月)
文庫本:文春文庫(2007年4月)



【イニシエーション・ラブの紹介】

「彼女いない歴=年齢」の鈴木は、代打で参加した合コンでマユと出会います。

無難に合コンを乗り切ることが目的だったはずが、マユを気に入ってしまいます。

一方のマユは小柄で幼く見える女の子。

やがて二人は恋人になり、幸せな時が流れていきます。


【感想】

本の裏表紙には、「傑作ミステリー」と紹介されていました。

表紙をもう一度見て、中身をペラペラとめくってみたのですが、どうみても恋愛小説です。

ミステリーらしさを感じることはできませんでした。

しかも、「最後から2行で、本書は全く違った物語に変貌する」と書かれていました。

「これは一体どういうことだろう?」と気になり読むことにしました。


一読して、鈍感な私は最後の2行の意味がわかりませんでした。

斜め読みが原因だったのかもしれません。

確かに、「ここおかしいな」「誤植かな」と思う箇所はあったのですが、自分の記憶違いかもしれないと流していました。

再度読み返して、途中でやっと気付きました。

確かに、仕掛けが隠されていました。

爽やかな恋愛小説からドロドロした恋愛小説へと印象が変化してました。

ただ、注意深く読まなければ、矛盾点には気付いても、謎解きには至らないかと思います。


最近読んだ本の中では、最も印象的な1冊でした。


2012年3月加筆

読後から1年以上経っても、強烈に印象が残っている本です。

恋愛小説とミステリー小説が嫌いじゃなかったら、読んだ方がいいですよ!!



【参考リンク】

ゴンザの園さま
 トリックの解説があります。


【関連商品】
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