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夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神 水野敬也
2013年01月04日 (金) | 編集 |
評価△

「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」
水野敬也 著

飛鳥新社




【夢をかなえるゾウ2の紹介】

ベストセラー「夢をかなえるゾウ」の続編です。

今回、ガネーシャがターゲットとしたのは、売れない芸人です。
(前作の主人公とは別人です)
この芸人は会社を辞めて8年も芸人を続けていたのに芽が出ません。
しかも、貧乏神がついていたのです。
ガネーシャは、芸人とコンビを組んで、コントのグランプリを目指していきます。


【夢をかなえるゾウ2の感想】

本屋の新刊コーナーに、なんとなく見覚えのある表紙を見つけました。
小さく描かれたゾウの絵を見て、ピンときました。
あの「夢をかなえるゾウ」のガネーシャのイラストではないですか!

年末のこの時期に続編が出るとは予想外でした。
「期待外れかもしれない」「単行本は高いな」と迷いながらも思い切って購入しました。

前作は自己啓発のノウハウを詰め込むというアイデア要素の強い作品でした。
「夢をかなえるゾウ2」もこの流れを継承しています。

しかし、前作と比較すると、自己啓発の色合いは薄くなっています。
お笑いと恋愛を軸とした普通の小説に近い形です。
著者は相当なお笑い好きなのでしょうね。
物語の中では、自らお笑いの台本まで作って披露しています。
厳しい見方をすると、オヤジギャグ小説…

成功の道を歩んで行く主人公に自己投影しようとすると、物足りないと感じます。
とは言いながらも、自己啓発が全く含まれてない訳でもありません。
例えば、「受け取ること」の大切さも書かれています。

なお、今回はガネーシャの他に、貧乏神、釈迦、死神が登場します。
特に、サブタイトルにも名前が出ている貧乏神は、重要な役を担っています。
もしかすると、著者はシリーズ化を狙っているのではないでしょうか?
例えば、「夢をかなえるぞう3 ガネーシャと女神様」とか。

前作がおもしろいと感じて、軽い読み物をお探しでしたら、ちょうど良いかもしれません。
強く推薦しませんが、無難に楽しめると思います。


【前作「夢をかなえるゾウ」について】



前作の紹介はこちらから!









るり姉 椰月美智子
2012年11月11日 (日) | 編集 |
評価△

「るり姉」
椰月美智子 著

双葉文庫



「本の雑誌」2009年上半期エンターテイメント・ベスト1位


【るり姉の紹介】

高校生、中学生、小学生の三姉妹には、るり姉という叔母がいました。
るり姉は明るく自由奔放で、いつも周囲を明るくさせる輝きをもっています。
三姉妹もるり姉を慕っていたのです。

ところが、るり姉が入院してしまいます。
三姉妹はるり姉の病状が深刻であることを悟り…

物語は全5章で構成されています。
三姉妹の長女・さつきをはじめとした5人の視点で描かれています。


【るり姉の感想】

おもしろい本というよりは、リズミカルな小説です。
独特のテンポに引き込まれていきます。
その秘密は、物語の中心人物・るり姉の存在でしょう。

あなたは、天性の明るさで周囲を輝かせる人に出会ったことはありますか?
しかも、単純に明るいだけではなく、天真爛漫な一面も併せもった人。
るり姉とは、そんな存在なのです。

しかし、物語はるり姉が主人公ではありません。
るり姉の家族が各章の主人公となり、それぞれにスポットライトが当たります。
各章の主人公たちも魅力的なキャラクターです。
るり姉と周囲の人物たちのハーモニーは絶妙です。

おもしろい本として紹介するよりも、ポップなリズム音楽のような本と表現したい本です。
刺激的なストーリーを読むのが重いと感じたときに、箸やすめ的に読むのがオススメです。


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真夜中のパン屋さん  大沼紀子
2012年10月17日 (水) | 編集 |
評価△

「真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ」
大沼紀子 著

ポプラ文庫




【真夜中のパン屋さんの紹介】

都心で真夜中にだけ営業するパン屋。
オーナーの暮林と職人の弘基は、二人で店を切り盛りしていました。
まだ開店したばかりですが、店のパンは評判上々でした。

ある日、女子高生の希実がパン屋に居候することになりました。
三人の奇妙な生活が落ち着き始めた頃、万引き小学生やニューハーフの登場で、物語は動き始めるのでした。


【真夜中のパン屋さんの感想】

シリーズ化されている話題の本です。

表紙は少女マンガのタッチで描かれています。
タイトルもかわいらしく、ほのぼのとしたポップな小説をイメージしていました。

ところが、意外にズッシリと心を押しつけられる小説でした。
登場人物たちは、それぞれに家族関係にトラウマを抱えています。
特に、親子関係に主軸が置かれています。

というわけで、楽しいパン屋の物語ではありません。
少女マンガのような恋愛小説でもありません。
ヒューマンドラマのような小説ですから、その辺りを認識の上、読み始めた方が良いと思います。

「結局、この本がおもしろいのか?」という問いに対しては、「普通」という感想です。
キャラはユニークで、楽しく読み進めることは出来ますが、どこか物足りません。
そう感じるのは、好みの問題でしょうか。

繰り返しになりますが、話題の人気本なだけあって、「ハズレ」ではありません。
今年の「読書の秋」は、この本からスタートしてはいかがでしょうか。


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氷点 三浦綾子
2012年10月07日 (日) | 編集 |
評価☆☆

「氷点」
三浦綾子 著

角川文庫




【氷点の紹介】

辻口病院長の辻口は、3才の娘ルリ子を殺されてしまいます。
その頃、妻の夏枝は他の男と会っていたのです。
夏枝は深い悲しみと罪の意識から病に伏し、辻口は妻への嫉妬心から疑心暗鬼になります。

夏枝は次第に回復し、幼い子どもを養子に迎えたいと辻口に訴えます。
辻口は養子に陽子を迎え入れます。
しかし、陽子はルリ子を殺した犯人の娘だったのです…

朝日新聞の連載小説で、何度もテレビドラマ化された作品です。
著者がキリスト教を信仰していたこともあり、作品にも反映されています。


【氷点の感想】

氷点との出会いは中学生の頃でした。
夏枝や辻口たち、大人の醜悪さに衝撃を受けたものでした。
逆に陽子は純真無垢に描かれています。
このギャップがまさに昭和のテレビドラマという印象でした。
美人妻への誘惑、美しい娘へのいじめ、人格者である夫の嫉妬心etc…
平日午後のドラマ枠にピッタリです。

このように紹介すると世俗的な作品と思いがちですが、著者によると氷点のテーマは原罪です。
原罪とはキリスト教に用いられる語で、「人が生まれながらに背負わされた罪」のようです。
登場人物たちは、それぞれに罪を抱えています。
苦しみ、傷つき、葛藤し、その先に何が待ち受けているのか、ドキドキしながら読み進めていくことになります。

氷点をテレビで見たことがない人は幸運です。
テレビ向けに加工されたドラマよりも、本で読むべき作品だからです。

なお、続編として「続・氷点」があります。
「続・氷点」は蛇足のような気にもなりますが、読者の声に後押しされて生み出されたそうです。
話題性と人気の裏付けともいえます。


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【続・氷点】

  


【映像作品】

  




夏の庭
2009年08月25日 (火) | 編集 |
評価△
「夏の庭」
湯本香樹実 著

新潮文庫(2001年)




【夏の庭の紹介】

小学六年生の夏、木山たち三人は、死に関心をもつようになりました。

そして、近所のおじいさんが死ぬ瞬間を見届けようと考えます。

毎日、学校の帰りにおじいさんの見張りをはじめました。

しかし、なかなか死ぬ気配はありません。

おじいさんは木山たちの存在に気付きます。

自分を付きまとう子どもたちを冷たく突き放しながらも、日々の生活に変化があらわれます。

やがて、木山たちとおじいさんの交流がはじまります。


【感想】

「2009新潮文庫 夏の百冊」の1冊です。

普通には接触するはずのない子どもたちと老人の物語です。

子ども視点で綴られた物語は、まるで児童文学のようでした。

テレビゲームに、大人のプレイヤーが子ども時代を楽しむ「ぼくの夏休み」というソフトがありますが、この本こそ「夏休みへの回帰」にふさわしいでしょう。




刺激的な小説を読む気になれず、おだやかな世界感にひたりたい方は読んでみると良いでしょう。

夏休みの読書感想文の宿題で、選ぶ本を悩んでいる中高生にもオススメです。

この手の本は先生の受けも良いですから。


ただし、波乱万丈を求める人は手に取るべきではありません。